エリオット思い出話
- tachikawa176
- 2023年6月20日
- 読了時間: 6分
更新日:2023年6月28日
エリオットは最初の予定から大きく外れたキャラクターの一人です。初めは「とにかくイヤな奴を作るぞ!」と意気込んでいたのですが、いざ作ろうとしてみたところ、イヤな奴の特徴、行動パターン、行動原理、そもそもイヤな奴とはなんなのかという、イヤな奴に関する諸々を自分は何も知らないのだということを知り、どうにか急ごしらえの勉強をして作ろうとしてみるもうまくいかず、結局は「意外といいやつ」に落ち着いたという、そんなキャラクターです。
そして彼に関しては、実は見た目のデザインや性格よりも先にBGMから作られました。(そんなわけで、エリオット戦のBGMはウィンターランドの中で一番最初に作られたBGMになります。)うざったいくらいにキラキラしていて、決して真っ直ぐではなくて、落ち着いたかと思えばやかましくなって、どちらかと言えば愉快な方で、戦いのシリアスさとかよりもおしゃれさとか見てくれの方が大事で、小物感があって、みたいな。彼に関してはBGMが羅針盤のような役割を果たしてくれました。

エリオットは私にとって「最も共感できないキャラクター」から「最も共感できるキャラクター」に変化した存在です。(私自身もびっくりしています。)
エリオットというキャラクターにおける重要なワードが「自分磨き」とか「美しさ」とかになってくると思いますが(なりますよね?)、この辺りが私の中で大きく変化したポイントになります。というのも、制作初期の頃の私は「美しくなる」「おしゃれをする」「見た目を整える」というような話に対してかなり斜に構えており、「Tシャツとかパーカー以外の服も着なよ」「もっとメイクしなよ」と言われるたびに「うっっぜ!!!!!」と噛み付きにかかるような人間でした。おしゃれやメイクに勤しむ友人達や世の中の芸能人の方々を見ても特に「ああなりたい」とは思わず、見た目よりも大事なことがあるだろうがとその手の話はひたすら無視していました。
そのため、見てくれに執着するエリオットが心底理解できず、自分で作ったキャラクターでありながら、しばらくの間「なんだこいつ」と思い続けていました。「こいつマジでわかんねえ〜〜〜〜」とずっと頭を抱えていた記憶があります。
その考えがガラッと変わったきっかけは、ドラァグクィーンの方々との出会いだったと思います。(「急にドラァグって何事!?」という感じだと思いますが、私も割と「急に何事!?」と思っています。とりあえず聞いてもらえると嬉しいです。)彼女たちの存在は、Netflixの「ル・ポールのドラァグ・レース」という番組で知りました。私にとってドラァグレースはとにかく衝撃で、あの番組がきっかけで、人生で初めて人間に対する美(自然や建造物に感じるものとは違う美)に興味を持ちました。人間の美を関心をもった、初めての経験だったのです。
もしかしたら私は、「美しくなる」ということを「世の中の規格に合わせること」だと思っていたのかもしれません。でもドラァグはそうではありません。ひたすらに個性・独創の世界です。そのため、自分の中の美に対する常識や固定観念を揺さぶられつつ、なんというか、ただひたすらに「すごい!」「なんだこれ!」「かっこいい!」「すごい!」とか思っていました。単純にドラァグの方々の見た目やパフォーマンスが私好みだったというのもあります。
それからドラァグクィーンの方のメイク動画やインタビュー動画を見漁るようになり、美しくなることと自信を持つということ、芯の通った生き方や考え方、「魅せる者」としてのストイックな姿勢や、そのクリエイティビティに触発され、「うわ〜〜〜!!真似してえ〜〜〜〜!!」となりました。そして実際、自分の好きなように「おしゃれ」をしてみたところ、それがとんでもなく楽しいということがわかりました。
その瞬間からです。何かこう、歯車がガッチリはまったような感覚があり、エリオットに何を言わせればいいのか、何をさせればいいのかが、スラスラと思い浮かぶようになりました。こうなると、彼を動かすのがもう楽しくて仕方がありません。ゲームをプレイしてくださった方は5人行動になった時のエリオットが妙に饒舌であると感じたかもしれませんが、それは私が、自分の好きなように着飾る楽しさと、それによって自信を持つということを強い実感と共に理解したことが理由です。

ちなみにエリオットの言うメイクは、いわゆる「メンズメイク」くらいのあれです。
とはいえ、おしゃれに価値の比重を置きたくない、というのも大事な考えだと思っています。見た目ばかり重視されたり、見た目を良くしなければならないというプレッシャーがあったりするのは私も嫌です。おしゃれはあくまで自分から、やりたい人がやりたいときにやりたいようにやるぐらいであってほしいです。昔の私がおしゃれやメイクに対して「うっっぜ!!!」となっていたのは紛れもない本心であり、そういった思考を持つ人を無視したくないという思いは今もしっかりとあります。というか、私もちょいちょい「うっっぜ!!!」は思います。エリオットがわかったからと言って、四六時中エリオットでいられるわけではないんですね。
というわけで、その辺りのバランスはブレイクやリッキー、ブルックリンあたりにとってもらうことにしました。ブレイクは毛並みを整える程度のことはしますし服もそれなりにいいものを着ていますが、メイクは絶対にしないタイプです。リッキーやブルックリンは、自分の見た目に関してもう本当になんにも興味ないです。そういう人もしっかり存在しているので、どうぞよろしくお願いします。

ここからは余談ですが、せっかくなので他のキャラクターの美意識についても書いておこうと思います。おまけコンテンツです。
グリアも、リッキーやブルックリンのように身だしなみにはあまり興味がないタイプです。ただしこちらは、素のままで十分美しいからという理由で何もしません。ユニクロ&ノーメイクで堂々と「美しいだろう?」してくるタイプですね。個人的には憧れます。
同じ研究者でも、ペールヴィレッジの2人と違ってダルヴィレッジの面々は気を使う方です。ジャックはその辺りかなり几帳面ですね。毎日ビシッとスーツきめてきます。シワは絶対に残しません。香水とか持っていてもおかしくないですね。とにかく隙がないです。
サミュエルも着る服にはこだわる方です。とにかく服にお金かけます。シンプルだけどいいブランドのTシャツを買ってきたり。下着とかもこだわるタイプですね。でも白衣はテキトーです。しかしそれも計算のうちです。あれは「よれている方がかっこいいファッション白衣」なので。
カレンも自分のボディにはものすごく気を使います。が、カレンの場合は色々と特殊なので、他とはちょっとベクトルが違うかもしれません。
アナベラは、身支度自体は完全に惰性でやっているしやる気も熱意もないけれど、実際いい感じになっているので周りからは「おしゃれ」とみなされる、というようなタイプでしょうか。
カトリーナとマリオンはエリオットの影響で気を使うようになりました。ここの2人には定期的にエリオットの指導が入ります。(余計なお世話ですね。)アナベラ、カトリーナ、マリオンの3人に関しては、エリオットが頻繁に「かわいいネイル見つけたんだけど君たちも使ってみないかい?」的なことをしてくるので、自然に美意識が底上げされていきます。これからもどんどん上がっていくと思います。今後が楽しみですね。
余談2です。エリオット、実は仮面オフ状態も考えてありました。カレンやカトリーナ等の派手顔勢と比べるとちょっと地味目の素顔です。(それでも派手な部類ではある?)

以上、ほんとに終わりです。