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ブレイク

  • tachikawa176
  • 2023年6月20日
  • 読了時間: 8分

更新日:2023年6月25日

個人的に、本作品の中で一番かっこいいキャラクターだと思っています。見た目も生き様も、全てにおいて憧れます。ただ、友達になりたいというよりは遠くから応援したいタイプです。実際目の前にしたら萎縮してしまうと思います。あとシンプルにノリが合わないと思います。(彼女自身は紛れもなく「いいヤツ」なのですが…)ブレイクはグリアやカトリーナと仲良くしていてください。


年齢は、子供というほど子供でもないが絶対に大人ではないよな、くらいのイメージです。常識は全て理解した上で必要に応じて無視するタイプなので、素の天然ボケ発言はしません。


彼女を一言で言うと「真面目」でしょうか。不正を許さないという気持ちが常にあります。周りに対しても、自分に対しても、です。「魔女をぶっ倒す」という目標は、まさに「不正を許さない」という気持ちが前面に出た結果ですね。ここに関してはそのままその通りなのであまり言うことがありません。むしろ注目すべきは、自分に対する厳しさの方でしょうか。


自分に対する「不正を許さない」は、ノブレスオブリージュの形で表れます。

彼女は、自分が「恵まれている」自覚があります。村長という権力者の子供で、体格も大きく健康で、周りに圧を与える(要求を通しやすい)見た目であることをわかっている。また、彼女の家には大きめの本棚がありますが、この知識へのアクセス性も本人は「恵まれポイント」だと思っている。加えて、ブレイクの母は村長であり、幼い頃から母の仕事する姿を見ていたので自然と村人たちのことを考えるマインドも身についている。母の仕事を通して自分と違う境遇の人間を認識している。

だからこそ、こんなに恵まれているのにその力を皆のために使わないのはズルだ!と考えて、周りのために行動します。「恵まれの自覚」が強いエネルギーの源泉であり、行動を縛る枷でもある、といった感じでしょうか。

まさにノブレスオブリージュを体現した存在です。ブレイク自身、この概念を知った上で、そうあろうと努力している節があります。これを「いいやつだ!」と捉えるか「傲慢だ!」と捉えるかは人によると思いますが、とにかく、それがブレイクです。個人的にはかっこいいと思います。



ブレイクと言えば、「立ち入るな」の看板を無視して泉に入っていくシーンがありますね。真面目真面目と言いつつルール違反してるじゃないか!と思われるかもしれませんが、特に矛盾した行動ではないと思っています。


というのも、ブレイクにとってあの場面は「ルールを守って何もしない」か「ルールを破って皆のためになることをする」の2択を強いられた瞬間だったからです。ルールを守るという正義と皆のために行動するという正義を天秤にかけて、それなら後者の方がいいだろ!となった結果があの不法侵入です。何もしない方が不正義だと考えたんですね。加えて、彼女はだいぶ生き急いでいるので「許可とかルールの改訂とか待ってられるか!」の気持ちもあったと思います。(ルールといえばジャックも割とすれすれの行動をしますが、彼の場合「違反」はしないので、そういう意味で向こうは上手ですね。人生経験の差でしょう。)




とはいえ、ルールを破ることに躊躇がないわけではありません。ルールの必要性もわかっています。ゲーム中でも言及がありますが、一応、検討に検討を重ねた結果不法侵入したわけなので、極度にルールを軽視したり勢いだけで動いているわけではありません。その辺やっぱり真面目だと思います。


ただ、「破っても問題ない」あるいは「破ったほうがいい」に至るまでに検討を重ねている分、一度そうなってからの決意は固いです。絶対に歯向かってやるという強い意志があります。

ルールの裏には合理的な理由があるが、それは誰にとっての「合理的」で、いつの時代における「合理的」なのか、常に問い続ける必要がある。だから盲目的にルールを信じたりはしないし、守る必要なんてないと思ったら平気で破ってやるからな、でも必要なルールもあるから見極めは頑張ろう…と考えているのがブレイクです。それは、村長というルールを作る(監視する?)存在のそばにいたことが理由かもしれませんし、本をよく読むので、その中で偉人の「常識に囚われるな」的な言葉を見たからかもしれません。(偉人そういうこと言いがちですしね。)




自信満々に見えて実はそうでもありません。というより、自信満々になるまでにそこそこ長いプロセスがあります。そして、ある分野で自信満々になったからといって、別の分野でも自信満々であるとは限りません。

実はブレイクはある意味最も社会性のあるキャラクターで、周りの空気感や人々の考える「普通とはこういうもの」を敏感に察知します。(でないと泉での「アタシってヘンなのか?」や「アタシだけが宇宙人〜」のセリフは出てこないと思います。)





そもそもが「いいヤツ」なのでそのへんの諸々は真正面から受け止めますし、無視しようと思ってもできないタイプです。しかしそれはそれとして、自分の意見もしっかり持ちます。それらが衝突しないうちはいいのですが、残念なことに衝突します。そうなるとブレイクはめちゃくちゃ悩みます。向こうの言い分に妥当性はある…理解できる…向こうの意見は「多数が支持している」というそれだけで説得力がある…それはそれとして自分はそうは思わない…違う意見を持つ自分はおかしいのか…?自分はただ知識や人生経験や視野の広さが足りていないからそんな意見を持ってしまうだけではないのか…?これはただの愚かな意見なのでは…?自分の意見は正しいのか…?正しいとしてどうやって正しさを立証する…?そもそも正しさとは、愚かさとは…とドツボにはまっていきます。真面目というか、謙虚なんですね。自分の意見を絶対的に正しいものだと思っていません。

しかし同時に自分の考えを捨てられない我の強さもあるので(難儀なものですね)、そうなると、自分の主観という曖昧なものに左右されない客観的証拠を集めて論理と自信を固め始めます。「調べまくった」「悩みまくった」のセリフや本をよく読む描写に反映されているのではないでしょうか。

そうして気が済むまで検討してから、自分のやろうとしていることが妥当性のあるものだと確信した上で初めて行動に移します。こうしたプロセスがあるので、行動し始めるまでは長いですが、一度やり始めてからは滅多なことでは止まりません。


我々が見るブレイクはこの最後の部分のブレイクだけなので超パワーファイターに見えるかもしれませんが、実情は割とどこにでもいるような悩めるティーンです。





またブレイクにとっては「孤独」も重要なテーマです。

ブレイクは魔女を倒して春を取り戻そうとしますが、協力者はいません。それは魔女に立ち向かうことのリスクが理由であり、皆今の状況に慣れきっていることが理由です。「今のままで平和なんだから、そんな危険で面倒なことやらなくていいじゃん!」と。ブレイクもその辺りは重々承知しているので、周りに協力を呼びかけることはあまりしません。しかしそれはそれとして魔女は許せないので、行動はします。一人でどうにかしようとします。(ここでブレイクに、人にしつこく協力を呼び掛けられる図々しさがあればまた色々違ったかもしれません。)

冒頭でも書いたように「不正を許さない」が動機になっているので、「皆のヒーローになりたい」という気持ちは(意外と)ありません。あくまで「自分が気に食わないからやる」というスタンスです。

一人で行動するのは、皆を危険に晒したくない…という優しさもないわけではないのですが、それよりも「どーせ皆わかってくれない」のような、他者に対する諦めの方が大きかったりします。諦めというより「拗ね」かもしれません。



協力を求めないのは「拒絶されたくない」という怯えもあるでしょう。(魔女を倒すなんて面倒で怖いこと、誰もやりたくありませんから。)断られるのは分かりきっているし、いちいち断られるのは傷つくから、それなら最初から一人でやる、というような具合です。人に拒絶される心理的恐怖は強いが魔女に殺される物理的恐怖は欠落している、よくいる思春期です。

また、彼女は理想主義者でありながら現実主義者でもあるので、春のある世界という理想に迷いはない一方で、現実的な見通しが立たないうちから「一緒に魔女倒そう!」と言うことには、なんとなく恥があったのかもしれません。協力を求めるにしても、現実味ゼロの目標を人前で掲げるのは抵抗があるから、ある程度見通しが立って具体的な指示が出せるようになったら人を誘おうと考えていたのかもしれません。皆やる気がないのがデフォルトだから、やるメリットが現実的かつ明確になって、そこまでやる気がなくてもできるくらい仕事を具体的かつ細かくできるようになってから頼もう、と。

ブレイクが主人公に話しかけてきたのは、ブレイク側の進捗状況的にタイミングが良かったことに加え、主人公が山に向かっているのを見て「協力する動機があるだろう」と考えたからです。この辺は双方にとって「運が良かった」という感じですね。あるいは、今までの準備・努力が実を結んだ結果とも言えるかもしれません。







............というようなキャラクターがブレイクなのですが、こう書いてみるとなかなか複雑な造形していますね。作っている間は「全然シンプルだろ!」と思っていたのが懐かしいです。全然シンプルではないです。


イケメン!て感じにしたかったんですが、できてますかね?

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